今回は世界中で愛され、多くの企業で選ばれているAutoCADを解説。
AutoCADの特徴から、価格、簡易版であるAutoCAD LTとの違いまで網羅的に解説。
これから、AutoCADを導入しようとしている方は勿論、これからAutoCADを学ぼうとしている人は、ぜひ選ぶ際の参考にしてくださいね。
まっすー
目次
AutoCADの特徴とは
まずは、簡単にAutoCADの特徴をまとめてみました。
AUTODESK社のCAD
AutoCADは、アメリカのAUTODESK(オートデスク)社が開発する2次元、3次元図面の作成ができるCADソフトウェア。建築・機械・土木・電気・設備など様々な設計や作図をすることができます。
AutoCADは初心者にも扱いやすいことから、CADの登竜門と呼ばれ、多くの人に活用されています。
ソフトはパッケージ版ではなく、期間を指定してダウンロードするサブスクリプションを採用しています。これにより、年度で新しくなるソフトを常に最新版に更新することができるようになりました。
汎用2DCADとしてトップシェア
AutoCADは、建築・土木・機械・電気分野の汎用CADにて日本・世界でトップのシェアを占めています。
また、AutoCAD図面であるDWGデータは、多くのCAD・BIMソフトに互換性があり、ソフト間の共有もしやすいんです。
様々な業種業界に対応したツールセット
AutoCADでは、建築設計、機械設計、電気設計など7種類のツールセットも利用することができます。以下がAutoCADを購入すると含まれるソフトです。
ソフト名 | 主な機能 | 対応業種・内容 |
---|---|---|
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建設、土木、設備設計、機械、電気、配管設計 | |
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建築設計、コンポーネント | |
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電気制御設計、回路図設計 | |
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地理情報システム、地形データ3Dマッピング | |
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機械設計、荷重計算、コンポーネント | |
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MEP(Mechanical、Electrical、Pipe)のツールセット、MEP設計 | |
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P&ID、プラント3Dモデル、配管設計 | |
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スキャン図面データをDWGに返還 | |
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モバイル端末でAutoCAD起動。外出先にも便利。 | |
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他PCからAutoCADにアクセス。 |
これにより、一つのソフトで多くの分野を扱えるので一元化、コストカット、互換性から作業時間を飛躍的に短縮することができます。
各専門分野に特化したツールセットは、設計養豚い応じて使いやすく改良されているので、他のCADソフトと並行して利用する方にとっても、なくてはならないツールとなりました。
拡張性が高い
AutoCADの最大のメリットとして、各社・業種・業界によってオリジナルに拡張できるということです。
AUTODESK App Storeeの拡張機能でAutoCADをカスタマイズしたり、APIをカスタマイズすることや、AutoCAD以外のAUTODESK社製品、サードパーティーのアドオンソフト等と連携することで、様々な業界に特化した専用機能を付与することができます。
使いやすく設定して、日々の業務を効率化しましょう。
自分が扱う分野に応じて、ツールや機能を使い分けることで、どんな業務においても最適な作図が実現するのです。
AutoCADの価格
AutoCAD含めAUTODESK製品は、サブスクリプションでの販売となっています。
AutoCADのサブスクリプションは、「AutoCAD for Windows」と「AutoCAD for Mac」の両方を利用することができます。
AutoCAD 2020サブスクリプション価格
表示金額は全て税込みです。
1ヶ月 | 1年間 | 3年間 |
---|---|---|
26,400円 | 209,000円 | 564,300円 |
AurtoCADには、AutoCAD単品以外にも複数のソフト(AutoCADを含む)が統合された、ソフトセットがいくつか販売されています。
AutoCAD以外にも、例えば「3DCADに特化したソフトを使いたい!」との事であれば、単品をいくつか購入するよりもソフトセットを購入した方がお得になるケースもあります。
そういった、AutoCADを安く買う方法や、AUTODESKで販売されているソフトセットの詳細については、以下の記事にて詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
AutoCADとAutoCADLTの違いを比較
AUTODESKには、AutoCADと同ソフトとして混同されるAutoCAD LTがあります。(最新版AutoCAD 2020とAutoCAD LT2020を比較)
あなたの作業内容・レベルに合わせて使い分ける必要がありますが、2つの違いは認識していますでしょうか?
同じ機能を例に挙げますと、2つのソフトはどちらもDWGのファイル形式で作成されて、勿論互換性があります。2Dの作図、編集のツールに関しても同じように使うことができます。
では、具体的に何が違うのか?というと、AutoCADLTには無い機能を、AutoCADには備えているんです。簡単に使える機能をまとめた以下の表をご覧ください。
AutoCAD LT 2020 | AutoCAD 2020 | |
---|---|---|
TrustedDWGテクノロジ | ◯ | ◯ |
2D作図及び編集ツール | ◯ | ◯ |
PDF書き出し、読み込み、アンダーレイ | ◯ | ◯ |
図面共有、共有ビュー | ◯ | ◯ |
マルチユーザーネットワークライセンス | ◯ | ◯ |
AutoCADモバイルアプリ | ◯ | ◯ |
3Dモデリングとビジュアライゼーション | なし | ◯ |
業務専用ツールセット | なし | ◯ |
点群の活用 | なし | ◯ |
Express tools | なし | ◯ |
3D Print Studio | なし | ◯ |
API | なし | ◯ |
Autodesk App store | なし | ◯ |
価格 | 1ヶ月 7,700円(税込) 1年間 64,900円(税込) 3年間 174,900円(税込) |
1ヶ月 26,400円(税込) 1年間 209,000円(税込) 3年間 564,300円(税込) |
大きく表の後半の機能について、AutoCAD LTには備わっていません。
例えば、3Dのモデリングを行う機能、編集を行う機能、レンダリングをする機能がLTにはありません。
他にも業種別のツールセットや、点群の利用、APIと呼ばれるプログラミングを使ってのカスタマイズがLTには出来ず、AutoCADの方では出来るといった違いがあります。
まっすー
以下では、AutoCADならではの機能の詳細を、いくつかピックアップして解説していきます。
- 3Dモデルの作成・編集
- クラウドレンダリング
- 様々なファイル形式の3Dモデルに対応
- 3Dプリント送信サービス、PrintStudio
- AutoCADのカスタマイズ機能
- アクションレコーダー
- AutoCAD Express Tools
- AutoCAD App Store
- パラメトリック図形(幾何拘束、寸法拘束)
- データ書き出し
- CAD標準仕様で図面チェック
3Dモデルの作成・編集
まず、AutoCAD LTと違いで一番大きな部分が3Dモデルの作成・編集です。
AutoCADの方であれば、ソリッド・サーフェス・メッシュといったオブジェクトを使用して、3Dモデリングを作成、あるいは編集することができます。
クラウドレンダリング
AutoCADでは、作成した3Dモデルを使ってさらに装飾することができます。
例えば、3Dのモデリングに対してテクスチャー、あるいは証明の設定をすることでAutoCAD上でレンダリングと呼ばれる作業をすることで、より綺麗なCGイメージを作成することができます。
レンダリングは通常、パソコンに負荷を物凄くかける処理なので、レンダリングを始めてしまうと他の作業ができなくなるほどスピードが遅くなります。
しかし、AutoCADには、クラウドレンダリングという機能が備わっています。
この機能を使うことで、「レンダリングの計算をクラウド上に投げる」といった事ができるので、自分はAutoCADで他の作業をすることが可能です。
レンダリングの計算が終わったら、メールでお知らせしてくれる機能もあるので、クラウドの方からレンダリング結果をダウンロードしてそれを確認することができます。
特殊なレンダリングも作成可能
AutoCADのレンダリングでは、静止画像だけをつくるレンダリングだけでなく、特殊なレンダリングも作成可能です。
例えば、「パノラマレンダリング」と呼ばれる、360度自由に周りを見渡すことができるレンダリングや、「日照のシュミレーション(日差しが入る景観をつくる)」といった様々なレンダリングができます。
様々なファイル形式の3Dモデルに対応
AutoCADでは、様々なファイル形式の3Dモデルを読み込んで、それを修正・編集できるようになっています。
それはAUTODESK以外の製品であっても可能。例えば、CATIA、IGES、NX、SolidWorks、Parasolid、PRO/ENGINEER、Rhinoのデータを取り込むことが可能です。
取り込む際は、単なるモデルデータの読み込みだけでなく、画層の情報を持っている場合は、その情報もちゃんと取り込んで、AutoCADで画僧を読み込むことができます。
3Dプリント送信サービス、PrintStudio
AutoCADでは、作成した3Dモデルを3Dプリンターに出力するためのサポートが整っています。
仮に3Dプリンターを持っていなくても、AutoCADから3Dプリントを提供している会社にモデルを送信してベンダーの方で、3Dプリンターに吐き出して実物を郵送で送り返してくれというサービスがあります。
3Dプリンターを持っていいれば、AutoCADの「Print Studio」というツールを使えば、Print Studioで接続された3Dプリンタにダイレクトに出力でき、返還の手間なくノンストップで送信することができます。
AutoCADのカスタマイズ機能
AutoCADLTでは、ユーザーインターフェース(ツールパレットやメニューのカスタマイズ)の機能は備えていますが、他のカスタマイズ基本的に備わっていません。
一方で、AutoCADでは、様々なカスタマイズ機能が提供されています。
例えば、APIカスタマイズ。例えばディスやVBA(Visual Basic for Applications)といったプログラミング言語を使ったカスタマイズ、アクションレコーダーといったものがAutoCADで環境が提供されています。
このようなAPIを用いたカスタマイズを使うことによって操作を短縮し、AutoCADで通常行われてる業務のオペレーションを減らして生産性を向上することができます。
アクションレコーダー
先程紹介したAPIは、プログラミングのスキルがどうしても求められてしまいます。
APIを使いこなすには、プログラミングを勉強してプログラミングコード取得する事が必要です。よって、これから始めようとしている人にとっては少しハードルが高いものと思ってしまうのも無理はありません。
そんな人は、「アクションレコーダー」という機能がおすすめです。
アクションレコーダーは、AutoCAD上で行った操作がそのまま、マクロのファイルとして作成されるという機能。プログラミングを書かなくても、マクロを作ることで以前操作したオペレーションを簡単に再現することができます。
そして、単純にまったく同じ動作をさせるだけでなく、メッセージ機能を付与させたり、入力を要求するといった事が可能なのでユーザー入力した上で処理を行うことができるのがポイント。
AutoCAD Express Tools
AutoCAD Express Toolsは、AutoCADの言わばボーナスツールです。
AutoCAD Express Toolsをインストールすると、AutoCADのリボン部分に「Express Tools」というタブが新しく追加されて、様々な標準のAutoCADには搭載されていない便利な機能を使うことできます。
属性分解・円弧に沿って文字を並べる
一例を上げると、画像の左上風船番号のブロック解除をすると、「番号」という名称が表示されてしまいますが、Express Toolsの「属性分解」を使うと、属性の文字はそのまま分解されるという形になるので、文字が表示されるのではなく、風船番号が残ったまま分解されます。
円弧に沿って文字を並べるといった機能もあります。これにより、表現の幅も広がるのではないでしょうか。
AutoCAD App Store
AutoCADは、AutoCAD App Storeにて、サードパーティが開発したアプリを利用することができます。
アプリには、日本語対応のもの、英語のみ、有償無償など様々なものがあります。
App Storeで検索して、自分に役立つアプリケーションを探して使うことができるのも、AutoCADならではの機能です。
パラメトリック図形(幾何拘束、寸法拘束)
AutoCADでは、2Dのジオメトリに対して、パラメトリック図形を定義する機能があります。
以下、通常線分を動かしてしまうと、ジオメトリの形が変わってしまいます。
一方で、自動拘束の機能を使うと、この図形の形状を拘束して変形させることができます。
データ書き出し
AutoCADでは、「データ書き出し」の機能を使うことで図面のブロック情報、図形の座標の情報といった様々な情報を抜き出してエクセルに貼り付けたり、AutoCADの表のデータに貼り付ける事が可能です。
ブロック情報を元に簡単にAutoCAD上で、部品表を貼り付けることもできちゃいます。
APiやマクロを使ってデータを書き出すことはできますが、そのような事をしなくても標準に備わっている「データ書き出し」機能を使うことで簡単に書き出すことができます。
CAD標準仕様で図面チェック
AutoCADのCAD標準仕様は、図面が会社の設計標準仕様に合っているかを簡単にチェックできる機能です。
会社によって図面を製作する際に決められている設計仕様。「画層は何を使うのか」「線の太さはどのくらいか」「文字の大きさ、フォントはどれを使うのか」決まっていると思います。
そういった際に簡単に図面チェックができるのが、CAD標準仕様です。
やり方として、まず、画層や文字の線種が整っている標準仕様の図面を作成します。それを「dws」のファイル形式で保存。こちらを標準仕様図として使用します。
(ツールパレットの)管理→環境設定→標準使用のファイルを設定(さきほどのファイル)→確認で実行
AutoCADの推奨動作環境
以下は、AutoCAD2020のWindows版、及びMac版のパソコンの推奨動作環境です。
これから、導入を検討している人はこちらを参考にパソコン選びをすると選びやすいです。今のPCでも動作するのかな?と悩まれている人は、ぜひ以下の記事も参考にしてください。
CADパソコンのおすすめスペックを元設計士が解説【2024年最新版】
まとめ
今回はAutoCADの特徴と機能の話と、AutoCAD LTとの違いを中心に解説してきました。
AutoCADは、機能がありすぎて全てを網羅的に使うといった事は少ないかもしれませんが、使いこなせば物凄く便利なツールだというこをお分かり頂けたでしょうか。
AutoCADでは、年々新機能がバージョンアップされていくので、次の新しい機能が追加され次第順に記事も更新してまいります。