CADはコンピューターは現在ものづくりにはかかせないものとなりました。
そのCADはいつ頃、誰の手によって開発されたのか、どういった進化をして今に至るのか。
今回はそんなCADの歴史を解説していきます。
目次
CADの歴史〜CADが開発されてから現在まで
まずは、CAD誕生から2000年代まで時系列で振り返りましょう。今現在有名なCADソフトは、このような時間順で開発されました。
1961年コンピューター科学者のパトリック・J・ハンラティ博士がアメリカのゼネラルモーターズ研究所に入り、コンピューターの自動設計システム「DAC」を開発しました。
CADの起源はこのDACから始まります。そのままDACという名前で世に広まると思いきや違っかったんです。
コンピューター制御機械の考案者である、ドーグラス・T・ロスがCADという言葉を作りました。
略語は違いますが、パトリック・J・ハンラティ博士はCADの生みの親として知られるようになりました。
パトリック・J・ハンラティー
パトリック・J・ハンラティーは、CADの父として知られる、アメリカのコンピューター科学者。
カリフォルニア大学アーバイン校で博士号を取得。
2013年まで設立したアリゾナ州スコッツデールの製造及び、コンサルティングサービスの社長兼CEO。
ダグラス・T・ロス
ダグラス・T・ロスは、アメリカのコンピューター科学者。CADを生み出した事で有名。
1951年におバーリン大学で数学の学士号を取得後、1954年にマサチューセッツ工科大学で電気工学を学ぶ。
SofTec株式会社会長に就任。
1963年 Sketchpad誕生
その後、本格的なCADソフトは、1963年に開発された2次元CAD「Sketchpad」が起源となります。
開発者は、アメリカの計算機科学者アイヴァン・エドワード・サザランド。博士論文の一環で作成したコンピュータプログラムで、これまで必要だったプログラミングが不要なソフトとして開発したんです。
ペンを動かすだけで画面上に図面んが描き、簡単に操作できる点で優れていました。
データ構造の設計において、「オブジェクト」や「インスタンス」といった概念を採用し、後にオブジェクトの概念が作られたのもこのころです。
今のCAD技術では当たり前ですが、基本的に図形を一つ作成したら、それを複製して何度も実体化(インスアタンス)できる技術を作ったのでした。
アイヴァン・エドワード・サザランド
アイヴァン・エドワード・サザランドは、アメリカの計算機科学者でsketchpacの開発者。
1938年にアメリカで誕生後、カーネギーメロン大学で電子工学の学士号を、カリフォルニア工科大学で修士号を取得。その後、MITにて博士号を取得しました。
サザランドは、最初のバーチャルリアリティと拡張現実である、ヘッドマウント3次元ディスプレィシステム「ダモクレスの剣( The Sword of Damocles )」を開発。
1988年に計算幾何書きの分野で革新的な功績を残した人物に年に1度、ACM( Association for Computing Machinery)からチューリング賞を受賞。
1998年にコンピュータ関連の科学および、高額への貢献に対して毎年送られる、IEEEジョン・フォン・ノイマン・メダルを受賞。
2012年には、京都賞の一部門である、京都賞先進技術部門を獲得。
1971年 ADAM誕生
1971年、intelがマイクロプロセッサーを続々と世に送り出してる間、パトリック・J・ハランティーは、自動製図・加工ができるCADプログラムを開発しました。
自動製図(Automated Drafting and Machinery)の頭文字を取ってADAMと名付けられました。
ADAMの特徴は、自動で製図し加工できるのが大きなポイント。現在市販されている製図ソフトの約90%は、ADAMを元に作られたと言われています。
1977年 CATIAが誕生
1977年、最初の3DCADとしてCATIAが開発されました。開発したのはフランスの航空製造者マルセル・ダッソー。
CATIAは「Computer graphics Aided Three dimensional Interactive Application」の頭文字を取って付けられました。
CATIAは当初、ダッソー・システムズ社内でしか動作しない専用のソフトウェアでしたが、後々他社でも使用できるよう改良されていきました。
1981年に創業されたダッソー・システムズ以来、CATIA V1から始まり、V”、V3、V4、V5、2008年にはV6が発売されています。
マルセル・ダッソー
マルセル・ダッソーは、フランスにグループ・ダッソー複合項共同体の創始者。
週所持の名前はマルセル・ブロック。
フランスで生まれ、航空会社を創業し、プロペラ機を製造。自分の製品設計用にCATIAを開発し、1981年に3DCADソフトウェアの販売線も会社である「ダッソー・システムズ」を立ち上げた。
1982年 AutoCADが誕生
1982年にジョン・ウォーカーがオートデスクを設立し、その1年後にPC向けの最初のCADプログラムAutoCAD1.0をリリースしました。
AutoCADは元々米国製の2D・3DCADの汎用CADとして発売され、他のCADメーカーと差別化するため、データのフォーマットとAPIを公開。
それにより、AutoCADをベースに様々なアプリケーションが開発され、一気にAutoCADが一躍有名、普及するようになりました。
現在では、カスタマイズのAPIが充実しており、十数カ国の言語に翻訳され世界中で利用されています。
1987年 Pro/ENZGINEER誕生
Pro/ENGINEERは、アメリカのPTC社により開発された3DCAD。
これまでのソリッド(履帯)による3次元形状の表現に加え、パラメトリック・モデリングと言われている形状の外形寸法値によるモデリング方法を3DCADに始めて取り入れたソフトです。
今まで、困難であった3次元形状の変形や寸法の修正への柔軟な対応が可能となり、1996年にはAutodesk社を売上高で上回り、3DCADとして有名になりました。
1995年 SOLIDWORKSの誕生
SOLIDWORKSは、ダッソー・システムズ社の子会社であるソリッド・ワークス社から1995年に販売された、機械設計用の3DCADソフト。
SOLIDWORKSの製品ポリシーは、「使いやすく」「手頃な価格で利用可能」というのがコンセプト。2013年にはライセンスの累計販売数が200万本を突破。
2001年 NXの誕生
NXは2001年、Siemens PLM Software(シーメンス)社がI-deasの開発元である米SDRC社を買収したことをきっかけに生まれたCAD。
NXは、当時のハイエンドCADである、CATIA V4、I-deas、Pro/ENGINEER、Unigraphicsの機能が一つになった3DCADで、CAM、CAEの機能も備えています。
製品開発エンジニアには無くてはならない、全行程が作れる機能が備わっているので、CAD、CAM、CAE間でデータ交換が不要なシステムとなっています。
主に自動車などの輸送機器メーカーで採用されています。
まとめ
今回はCADの歴史を中心に解説してきました。
CADは進化をし続けて、ものづくりにはかかせないツールです。各CADによって特徴や使われる業界・分野・価格帯もことなることがお分かりいただけたでしょうか。
昔はどのCADも高額でしたが、今では手頃なCADや互換製品も登場して、個人でも手に入れ、触れる機会が増えたのはこういった歴史があったからなのです。