CAD用ノートパソコンを元設計士が解説【2023年最新のおすすめ】

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CAD用のノートパソコンが欲しい!持ち運べて使い勝手の良いノートパソコンを購入したい方も多いですよね?

せっかくのパソコンも、買い方を失敗してしまうと単に高い買い物をして終わってしまいます。

まっすー

僕は元プラント設計の仕事をしていまして、数多くのCADが入ったパソコンを見てきました。そして使ってきました。

パソコンの値段に対して、必要以上のスペックを積んだり、逆にスペック不足だったりと、パソコンを選ぶ側がこの辺の知識が不足していると感じていました。

そんな時、僕は部署内で毎度の予算内でパソコンを発注をする担当になったことでCADソフトを快適に動作させる「必要なスペック」と「それに必要な予算」がある程度分かってくるようになったんです。(今では本当にやってよかったなと思っています。)

そこで、購入後に悩まれないためにも今回の記事で「どういった選び方をすればいいのか」と「どのパソコンがおすすめなのか」を理解していきましょう。

最新のPCでの作業は快適です。ストレス無い作業環境をつくりませんか?

>>先におすすめノートパソコンを見る

CADノートパソコンのスペックの選び方

CADが使えるノートパソコンは、以下のスペックを特に重要視して選んでいきましょう。

  • グラフィックボード
  • CPU
  • メモリ

順に解説していきます。

グラフィックボード

CADを扱う上で最も重要なパーツはグラフィックボードです。

グラフィックボードには、一般的に「GeforceとNVIDIA RTX(旧:Quadro)」の2種類。

中でも今回は、CADと同じOpenGLというプラットフォームをもとに作られているNVIDIA RTXシリーズを選ぶことが適切です。描画スピードが早く、高負荷な作業もサクサクとこなしてくれます。

NVIDIA RTXには大きく分けて2種類あります。「NVIDIA RTXシリーズ」と「NVIDIA Tシリーズ」。

以下に新規格表を添付。()はGPUメモリ数。

NVIDIA シリーズ

NVIDIAシリーズ CUDAコア数
NVIDIA RTX A5000(16GB) 6144
NVIDIA RTX A4000(8GB) 5120
NVIDIA RTX A3000(6GB) 4096
NVIDIA RTX A2000(4GB) 2560
NVIDIA RTX A1000(4GB) 2048
NVIDIA RTX A500(4GB) 2048
NVIDIA T1200(4GB) 1024
NVIDIA T600(4GB) 896
NVIDIA T550(4GB) 1024
NVIDIA T500(2GB) 896

NVIDIA シリーズは従来製品に比べ、メモリ容量が増えたことにより、メモリ帯域が増加。これにより大幅に性能(CUDAコア数)が上昇しました。

単純に従来製品と性能を比較すると、以下のように大きく変わったことが分かります。

NVIDIA T600(4GB)性能値896 > Quadro P620(4GB)性能値512

NVIDIA T1200(4GB)性能値1024 > Quadro T1000(4GB)性能値768

NVIDIA RTX A4000(8GB)性能値5120 >Quadro RTX4000(8GB)性能値2560

まっすー

従来のQuadroP、T、RTXシリーズに比べて、NVIDIAシリーズ数もシンプルになり性能が枝分かれ手していない分、用途に合わせて選びやすくなったことも嬉しいポイント。

従来のQuadroP、T、RTXシリーズ CUDAコア数
Quadro RTX6000(24GB) 4608
Quadro RTX5000(16GB) 3072
Quadro RTX4000(8GB) 2560
Quadro RTX3000(6GB) 1920
Quadro T2000(4GB) 1024
Quadro T1000(4GB) 768
Quadro P620(4GB) 512
Quadro P520(2GB or 4GB) 384

グラフィックボードの選び方は、使用するCADの種類と、使用内容によってグラフィックボードが異なります。

今回は、NVIDIA社が提唱する各CADソフトに適した、モバイル用グラフィックボードを表にまとめました。以下の対応表をもとに選ぶと簡単です。

今回は以下の代表するCADソフトを例にまとめます。

  • AutoCAD
  • INVENTOR
  • REVIT
  • 3DSMAX
  • SOLID WORKS
  • CATIA
  • Siemens PLM
  • PTC Creo

表では過去のデータを引用上、従来のグラフィックボード規格となっているため、以下の新企画での対応を確認してください。

MEMO

P620→NVIDIA T600

P1000→NVIDIA T1200

P2000→NVIDIA RTX A2000

P4000→NVIDIA RTX A4000

P5000→NVIDIA RTX A5000

Quadroの選択はNVIDA公式HP「選択のヒント」より引用

CADソフト 使用内容 Quadro
AutoCAD 小規模のアセンブリ P600
中規模のアセンブリ P2000
AutoCADと3DSMAX(高負荷CAD)を随時使用 P4200
INVENTOR 小規模のアセンブリ P1000
中規模のアセンブリ P2000
大規模アセンブリ、3DSMAXでINVIDA Irayレンダリング(高負荷処理)を随時使用 P4200
REVIT 小規模モデル P600
中規模から大規模モデル P2000
非常に大規模モデルと3DSMAXでINVIDA Irayレンダリング(高負荷処理)を随時使用 P4200
3DSMAX Iray レンダリングを随時使用 P2000/P3200
非常に大規模なアセンブリの Iray レンダリング P4200
頻繁な Iray レンダリング使用、またはレンダリングと CAD 設計を同時に使用する場合の複数のGPU P5200
SOLID WORKS 単一部品を備えた小型/中型アセンブリー P2000
単一部品を備えた 大型のアセンブリー 複合部品を備えた小型のアセンブリー P4200
複合部品を備えた大型のアセンブリー P5200
CATIA CAD 時折発生するモデリング(単純な組み立て)、1 つのパーツからなるデザイン P2000
集中的なモデリング、複雑なシステム構成 P4200
専門家のモデリング(業務用)、デザインとスタイリング P5200
SIEMENS PLM シンプルなパーツで構成された小~中規模のアセンブリ P3200
シンプルなパーツで構成された大規模なアセンブリ、または複雑なパーツで構成された小規模のアセンブリ P4200
複雑なパーツで構成された大規模なアセンブリ P5200
PTC Creo シンプルなパーツで構成された小~中規模のアセンブリ P3200
シンプルなパーツで構成された大規模なアセンブリ、または複雑なパーツで構成された小規模のアセンブリ P4200
複雑なパーツで構成された大規模なアセンブリ P5200

上記をまとめると、2DCADでT600以上、3DCADでNVIDIA T1200以上のグラフィックボードが求められます。

負荷のかかる作業や、複数のソフトを同時起動させながらCADを立ち上げる際は、NVIDIA RTX A4000以上を選ぶと安心です。

CPU

CPU選びは難しくありません。

なぜなら、グラフィックボードから選ぶと必然的に最新のグラフィックボードに最適なCPUが搭載されているからです。現在だとCore i7、Core i9の第10世代・第9世代が発売されています。

CPUで重要なのはCPUのコア数。このコアが少ないと後に紹介するグラフィックボードの性能の足を引っ張ってしまうことになりかねません。

(現在発売中のPCに搭載されているCPUは)Core i7だと6コア、Core i9だと8コアあるためCADの作業はぴったり。心配ありません。

まっすー

CPUの性能が足りていないと、画面がカクカクしたり、パソコンのファンが回り続け、ファンの「ウィーン」という音が鳴り、うるさくなります。。

終いには、CPU使用率がCADを使用するとグッと上がり、強制終了が多発することも。

多くのCADは、数十秒おきに自動保存の設定ができますが、タイミングによっては保存されずデータが消えることがあるので適切なCPUを選ぶよう気を付けてください。

メモリ容量

メモリは、16GB以上を選びましょう。

メモリ不足になると、パソコンが固まる、次第に遅くなる、といった減少が起こります。CADを動かすとガクンとメモリを食うので要注意。

ノートパソコンの場合、一つ一つのパーツが小さく、デスクトップと同じ性能は出しづらい状態にある分、余裕を持ったメモリ数を確保する必要があるんです。

CADソフトを立ち上げながら、他の作業と同時並行するとよりその影響を感じやすいと思うので、16GB以上は欲しいですね。

ハイエンドの3DCAD(ポリゴン数が多く、更にメモリ消費が激しいCADを使用する方)は、32GB以上も視野に入れてください。

まっすー

AutoCADLTという有名な2Dソフトでさえメモリは16GBが推奨です。3DCADをメインで使われる方は特に、16GB以上を選ぶようにしましょう。

重量・画面の大きさ

重量は画面の大きさに依存するので、画面が小さければ軽量で持ち運びやすいノートパソコン、ということになります。

以下が一般的な画面の大きさ別のパソコンの重量です。

画面の大きさ 平均重量
14インチ 約1.5kg
15.6インチ 約2.2kg
16インチ 約2.4kg
17.3インチ 約2.8kg

CAD用ノートパソコンで広く出回っているのは15.6インチ。高性能モデルとなるとパーツ自体の大きさも大きくるため、16や17.3インチのPCが多くなります。

まっすー

移動中や出先で仕事ができる条件というので重さを重要視する方は、14あるいは15.6インチを選ぶといいですね。

カテゴリー別おすすめCADノートパソコン

ここからは、以下のカテゴリー別おすすめノートパソコンを紹介していきます。

  • 価格の安い構成
  • 快適な構成
  • 余裕のある構成

価格の安い構成

以下は、最新のCPU・グラフィックボードNVIDIA T600・T550・T500を搭載したノートパソコン。コスパが良いため初めの1台目におすすめなモデルです。

NVIDIA T600を選ぶとより安定します。

レノボ ThinkPad P14s Gen3

画面 14.0型
CPU Core i7-1240P
メモリ 16GB
GPU NVIDIA T550
価格 186,950円(税込)〜

NVIDIA T550搭載。14.0インチは軽量コンパクトで人気。

レノボ ThinkPad P15v Gen3

画面 15.6型
CPU Core i7-12700H
メモリ 16GB
GPU NVIDIA T600
価格 254,826円(税込)〜

NVIDIA T600搭載。より性能を求める方はこちら。

HP ZBook Firefly 14 G9

画面 14.0型
CPU Core i7-1255U
メモリ 16GB
GPU NVIDIA T550
価格 377,400円(税込)〜

4Kディスプレイ・重さ約1.5kgアルミボディで持ち運びしやすい。

DELL New Precision 3571

画面 15.6型
CPU Core i7-12800H
メモリ 16GB
GPU NVIDIA T600
価格 236,280円(税込)〜

タッチパッドとキーボードの柔軟性向上。ブルーライトカット機能も標準装備。

快適な構成

ここからは、より快適な環境で仕事をしたい方向けにおすすめな構成を紹介します。グラフィックボードはNVIDIA RTX A1000以上がおすすめ。

レノボ ThinkPad P16 Gen1

画面 16型
CPU Core i7-12800HX
メモリ 16GB
GPU NVIDIA RTX A1000
価格 239,800円(税込)〜

16インチの大画面(WUXGA)で操作も快適。

HP ZBook Fury 15.6inch G9

画面 15.6型
CPU Core i7-12700H
メモリ 16GB
GPU NVIDIA RTX A1000
価格 489,500円(税込)〜

HP ZBook Fury 15.6inch G9は、前モデルより小型化軽量化に成功。

DELL New Precision 3581

画面 15.6型
CPU Core i7-13800H
メモリ 15GB
GPU NVIDIA RTX A1000
価格 273,280円(税込)〜

SSD最大4TB搭載可能。

余裕のある構成

余裕を持った作業環境の構築、将来を見据えて長く利用するならこちらがおすすめです。

最新のグラフィックボードであるNVIDIA RTX A2000、あるいはA3000を選べば余裕。最大でRTX A5000まで搭載可能です。

 レノボ ThinkPad P1 Gen 5

画面 16型
CPU Core i7-12700H
メモリ 16GB
GPU NVIDIA RTX A2000
価格 445,500円(税込、送料込)〜

16インチでマルチタッチパネル搭載モデルもカスタマイズ可能。

 

 レノボ ThinkPad P16 P1

画面 16型
CPU Core i7-12800HK
メモリ 16GB
GPU NVIDIA RTX A5500
価格 612,150円(税込、送料込)〜

16インチのレノボのハイエンドモデル。カスタマイズにより最大RTX A5500まで選択可能。

DELL New Precision 5770

画面 17.3型
CPU Core i9-12900H
メモリ 16GB
GPU NVIDIA RTX A3000
価格 521,805円(税込)〜

最新Corei9搭載の17インチワークステーション。メモリは最大で64GBまで増設可能。

CADノートパソコンにおすすめメーカー

CAD用ノートパソコンにおすすめなBTOメーカーをピックアップしました。

今回紹介するのは以下の6つのメーカーです。メーカーごとにパソコンを安く購入できる方法も解説しているので合わせて御覧ください。

  • レノボ
  • HP
  • DELL
  • パソコン工房
  • アーク

順に解説していきます。

レノボ

  • セールの割引額が大きい
  • 一部のパソコンは国内生産
  • 納期がかかります。
ポイント あり
お届け日 2〜3週間程度で出荷
送料 送料無料
下取りサービス なし

レノボは、なるべく安くノートパソコンを手に入れたい方におすすめのメーカーです。

パソコンは頑丈で堅牢な設計となっているので、落下に強く持ち運びに最適です。指紋認証も搭載しています。ポイント制度と下取りサービスはありませんが、全ての商品が送料無料なので、余計な出費がかからないのは嬉しいですね。

しかし、納期が長く、注文から2〜3週間と辛抱が必要です。


参考
割引クーポンあり!レノボのパソコンを安く買う方法

HP(ヒューレットパッカード)

HP Directplus -HP公式オンラインストア-
  • CADパソコンが16万円台(税抜)で手に入る
  • 世界的有名BTOメーカー
  • 格安モデルから高性能モデルまで出品
  • 海外の工場からの発送なので納期がかかります
ポイント なし
お届け日 5営業日
送料 3,000円(税抜)
下取りサービス なし

HPは、ラインナップ豊富なパソコンで世界的シェアを誇るメーカーです。

CADパソコンに関しては、これまで紹介してきた製品よりは割高感はありますが、パソコンの種類が豊富なので幅広い選択肢から選ぶことが可能です。

光学ドライブ(ブルーレイ)もカスタマイズで付けることが可能です。


参考
割引クーポンあり!HPのパソコンを安く買う10個の方法

DELL

デル株式会社
  • CADパソコンが19万円台(税抜)で手に入る
  • 世界的有名BTOメーカー
  • 3年間の保守サービスが標準装備
  • 海外の工場からの発送なので納期がかかります
ポイント なし
お届け日 3~4営業日で工場から出荷
送料 無料
下取りサービス なし

DELLは、ラインナップ豊富なパソコンでHPと同じく世界的シェアを誇るメーカーです。

商品は3年間の保守サービスが追加料金なしで付いているので、もしもの時にも安心です。

モニターやマウスといった周辺機器も同時購入すると割引価格で購入することができます。


参考
割引クーポンあり!DELLのパソコンを安く買う方法

アーク

  • 全国に実店舗を構える
  • 即日出荷対応パソコンがある
  • 無料会員登録でポイント獲得
ポイント なし
お届け日 7日~10日
送料 送料無料
下取りサービス 1,000円(税抜)割引

アークは、ゲーミングPCを中心に秋葉原に店舗を構えるBTOメーカーです。

国内生産・国内出荷にもかかわらず、お届けまで7日~10日かかるのは、組み立てに2日~4日、一点ずつ動作検証を2日、その後丁寧な梱包をしているからです。

安心安全な国内産にこだわりたい方は、ぜひ手にとって見て下さい。


参考
アークのパソコンを安く買う方法!セール・キャンペーン開催中

Macでも大丈夫?

Macを使う際の注意点として、使用するCADソフトが対応しているか確認する必要があります。

AutoCADであれば、対応していますが、これよりハイエンドと呼ばれるCADには対応していないことが多いです。

MacでCADは使えるの?CADパソコンにMacを選ぶ際に注意したい事で解説していますが、今発売されているMac

  • iMac
  • MacBook pro
  • MacBook air

であれば、AutoCADであれば難なく動作します。AutoCADのソフトはMac版があり「AutoCAD for Mac」こちらを選択する必要があることに注意です。

まとめ

これまでおすすめの3DCAD用ノートパソコンを紹介してきました。

たくさんの商品を紹介してきましたが、ご自身によって選ぶべきパソコンは異なります。

スペックを見極めた上で妥協のない、お気に入りの1台を見つけて下さいね。

CADにおすすめなデスクトップパソコンはこちらの記事で解説しています。

CADパソコンのおすすめスペックを元設計士が解説【2023年最新版】